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「えっ、踏み切ってないのにもう勝負ついてるってどういうこと?」
走幅跳を見ていると、ついジャンプの瞬間や着地に目がいきがち。
だけど実は──その勝負、跳ぶ前に“ほぼ決まってる”んです。しかも、助走の3歩目あたりで。
これ、陸上マニアの間では割と知られた話。
でも一般的にはまだまだ知られていない「助走の奥深さ」に、今回はズバッと切り込みます。
🏃♂️助走ってただの“加速区間”じゃないの?
答えはNO。
走幅跳の助走は「跳ぶためのスピード」を生み出す区間であり、同時に「跳ぶ形」を作る“準備運動”でもあります。
実際、世界トップクラスの選手の助走は0.01秒単位のリズム設計。
たとえば「右・左・右」の3歩でどの程度“重心が前に移るか”で、跳躍全体の成否が見えてしまうのです。
📏3歩目の時点で何が決まってしまうのか?
● ① 加速の方向性
前ではなく“上”に進むような足の運びをしてしまった瞬間、その助走は終了。
つまり、“スピード型”の選手はこの3歩で「推進力の流れ」を制御しないといけない。
● ② 上体の角度
3歩目で“上体が後傾”になっていると、その後のフォームはブレる。
→結果、踏切で「起き上がる動作」=タイムロスが発生。
● ③ 地面反力との相性
この段階で「地面に力をもらえる踏み方」=“乗れるフォーム”かどうかが決まる。
→感覚で言えば「今日は3歩目がハマってる」とわかる日は記録も出やすい。
🧠有名選手も“3歩目”を極めている
世界記録保持者・マイク・パウエル選手も、試合ごとの助走の入りを徹底的に記録&分析していたことで知られています。
日本の名ジャンパー・橋岡優輝選手も「助走の序盤で決まる」と語るなど、“3歩目の重要性”は実はトップ選手の間では常識。
▶逆に、「後半で取り返そうとする助走」は99%うまくいかない。
それが走幅跳の怖さでもあり、美しさでもあるんです。
🎯これ、初心者にもあてはまる?
もちろんです!
むしろ初心者ほど、「助走はスピードだけ」だと思っている傾向が強い。
でも、ちょっと待って。スピードだけなら100m選手の方が速い。
それでも“ジャンプの距離”で勝てないのは、助走の質=3歩目の“入口”の違いが大きいからです。
📚実際にやってみた:3歩目に意識を集中させると…?
筆者(大学時代・走幅跳ベスト6m20)が現役時代にやっていたトレーニング:
- ① 靴下で廊下を走りながら“3歩目の滑らかさ”だけを意識
- ② 左右非対称な床を使って「不安定→安定」の切り替え練習
- ③ 最初の3歩で「リズムが作れた」と感じた日は記録が出やすかった
結果、助走全体の“焦り”が消え、記録がコンスタントに伸びました。
つまり、3歩目は助走の“プロローグ”ではなく、“クライマックス”だったんです。
💡まとめ:「跳ぶ前に勝負が決まってる」からこそ、走幅跳は面白い
- 🏁 助走の“3歩目”で方向性が決まり
- 🪶 フォームの安定性が決まり
- 📉 そして、記録まで決まってしまう…
このスポーツは、ただ跳ぶだけでは勝てません。
「走る技術」と「跳ぶ感覚」の融合こそが走幅跳の本質。
そして、それを担っているのが“たった1歩”、3歩目なのです。
次に走幅跳を見るときは、跳ぶ前の3歩──
その“運命のリズム”に、ぜひ注目してみてください。