視力が悪くても100mは速くなれる!─陸上競技と“見える”の意外な関係

はじめに:視力が悪いから陸上はムリ…なんて思ってない?

「視力が悪いからスポーツはちょっと…」
「メガネが邪魔で走りづらい」
そんな声を、実は中高生の部活動や体育の現場でよく耳にします。

でもちょっと待ってください。

陸上競技に“視力”って、本当に必要?

視力が悪いから足が遅くなる?
視力が良ければ記録が伸びる?

結論から言えば──ほぼ関係ありません!

この記事では、「視力と陸上競技のパフォーマンスに相関はあるのか?」という素朴な疑問を、科学的・実体験的に解き明かしていきます。


そもそも「視力」とは何か?

まずは基礎から確認しておきましょう。

■視力=どれだけ細かいものを認識できるか

裸眼視力1.0は、5m離れた位置からランドルト環(Cの字)を判別できるレベル。
しかしこれは静止したものを認識する能力であり、「運動の能力」とは根本的に違うのです。


陸上における「必要な視覚」とは?

陸上、とくに短距離や中距離で必要な視覚機能は、以下のようなものです。

  • スタートの合図(ピストル音 or 視覚信号)を認識
  • レーンの維持(白線を見る)
  • ゴールラインや障害物の認識

ところが、これらは0.3〜0.5程度の視力でも十分認識可能であり、極端に言えば「完全に見えていなくても走れる」のです。


視力が悪くても速く走る選手はたくさんいる

例えば──

■パラリンピックの視覚障害ランナー

完全な視覚障害を持つランナーが、伴走者とともに100mを10秒台で走ることもあります。
視界がゼロでも、人間の身体感覚と空間把握能力だけであれほどのスピードが出せるのです。

これを見れば、視力が少し落ちた程度で「陸上向いてない」と悩むのはもったいないと感じませんか?


実際にメガネ・コンタクトなしで走る人も多い

ある高校の陸上部では、視力0.2以下の部員が裸眼で100mを走っています。

「ゴールの方向さえ分かれば、全力で走れる。
フィーリングとリズム、そして身体の感覚でなんとかなる」
──某・県大会出場経験ありの高校生スプリンター

視界が多少ぼやけていても、身体が覚えた走りのリズムは裏切りません。


視力が影響するとすれば、どんなケース?

「視力と陸上が無関係」と言い切っても、
以下のような一部の種目では注意が必要です。

種目視覚の重要性
ハードルハードルとの距離感をつかむ必要がある
棒高跳棒の刺す位置やバーの高さを正確に見る必要あり
やり投・円盤投軌道確認や投擲方向の把握が必要

このような“距離感”や“方向感”が繊細に求められる種目では、視力が記録に関わる可能性もあります。

ただし、それでもコンタクトやスポーツゴーグルでカバーできるということを忘れてはいけません。


眼鏡やコンタクトの使用で変わる?

最近は「スポーツ専用メガネ」や「乱視対応コンタクト」など、陸上向けの視力サポートアイテムも進化しています。

■おすすめ対策:

  • ズレにくいスポーツ用眼鏡(バンド付き)
  • 乾燥に強い1dayコンタクト
  • 夜間練習用にクリアレンズのアイウェア

でも本音を言うと、「そこまで視力に依存しなくても速くなれる」のが陸上の魅力なのです。


むしろ「視覚に頼りすぎない」方が速くなる?

トップスプリンターの間では、「視覚よりも体性感覚(感覚的な位置情報)」を重視するトレーニングが増えています。

● 見ずに走るドリル
● 目を閉じてスタート練習
● 足音と振動で地面とのコンタクトを感じる

こうしたトレーニングは「視力が悪くても成長できる」どころか、逆に“走りの感性”を研ぎ澄ますことに役立つのです。


結論:「視力が悪い=陸上に不利」は幻想だった

・視力1.0でなくても走れる
・視界が悪くても記録は出せる
・むしろ、感覚を鍛えるチャンスになる

陸上競技は、**“自分の体を使って道を切り開くスポーツ”**です。
「目が悪いから…」と諦めていた人こそ、一度シューズを履いてトラックに立ってみてください。

あなたの“走り”に必要なのは、視力ではなく「走りたい」という気持ちです。


おまけ:視力が悪いトップアスリート

  • 陸上短距離選手の中にも、視力0.1以下の選手は意外と多い
  • MLB(野球)やF1(自動車競技)でさえ、視力補正ありで活躍する選手は多数

つまり「見える=強い」は、スポーツの常識ではないのです。

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