Contents
■ スタートの合図は、夢と現金の音
スタジアムに響くピストルの音。それは「夢の始まり」であると同時に、「賞金争奪戦」の号砲でもある──。
世界陸上は、ただ速さ・強さ・跳躍力を競う場ではない。
実はこの大会、とんでもない“お金”が動いているのをご存知だろうか?
今日は少しだけスパイクを脱いで、「世界陸上×マネー」の裏側をのぞいてみよう。
■ 世界陸上の賞金事情:優勝で○○万円?
世界陸上(World Athletics Championships)では、種目別に賞金が明確に設定されている。以下は一例(2023年大会参考):
- 🥇1位:7万ドル(約1,050万円)
- 🥈2位:3万5,000ドル(約525万円)
- 🥉3位:2万2,000ドル(約330万円)
- 4~8位:1万ドル(約150万円) 〜 5,000ドル(約75万円)
なんと、決勝進出するだけで数十万円の報酬が保証されるのだ。
しかも、リレーなどの団体種目では「チーム全員」に同額が支払われる。
つまり、男子4×100mリレーで金メダルを取れば、1チームで合計約4,200万円にもなる。
■ 世界記録でボーナスが出る!?
さらに夢があるのが、“記録ボーナス”。
2023年の世界陸上では、**世界記録を更新した選手に10万ドル(約1,500万円)**が支給された。
これはスポンサー(主にTBS・ワールドアスレティックス・アディダスなど)による特別賞金だ。
例えば、男子三段跳びでウクバレが世界記録を出した際、会場中がどよめいた──その理由は記録だけじゃない。金メダルとあわせて約2,500万円超の報酬を一夜にして得たからだ。
■ 国によって“ボーナス”が桁違い
賞金は大会主催者だけでなく、各国の陸上連盟や政府からの報奨金もある。
- 🇶🇦カタール:金メダルに1億円超(アジア大会含む)
- 🇨🇳中国:メダルに数百万〜数千万円の報奨金
- 🇯🇵日本:オリンピックは500万円(世界陸上はやや低め)
つまり「どこの国の代表か?」によって、同じ金メダルでも、手にするお金はまったく違うというわけだ。
■ スポンサー契約という“もう一つの財布”
賞金だけではない。トップアスリートたちは、スポンサー契約によって年間数千万〜億単位の報酬を得ている。
例を挙げると:
- 🏃ウサイン・ボルト:年間30億円以上(ナイキ・Gatorade・Pumaなど)
- 🏃ノア・ライルズ:数億円(アディダス・レッドブルなど)
- 🏃福島千里(元日本代表):全盛期は年間数千万円の契約と報道
つまり、走る=稼ぐ時代は確かに存在している。
■ それでも稼げない選手たち
一方で、決勝にも出られず、スポンサーもつかない選手たちは?
答えは…「ほぼ無収入に近い」。
世界陸上に出場するには、海外遠征費・トレーナー代・用具代など年間数百万〜数千万円の出費があるのに対し、それに見合う収入がない選手も多い。
彼らはアルバイトや副業をしながら、世界の舞台を目指しているのだ。
■ 世界陸上で“本当に儲けている”のは誰?
意外かもしれないが、「放送権」と「スポンサー枠」で収益を上げているのは、大会主催の**ワールドアスレティックス(旧IAAF)**や、**中継権を持つテレビ局(TBSなど)**だ。
- 放映権:1大会で数十億円規模
- 広告:会場バナー、テレビCM、実況中のスポンサーメッセージなど多数
つまり、“世界一速い男”が得る賞金よりも、その様子を映すカメラの向こうの大人たちのほうがはるかに儲かっているのだ。
■ お金とスポーツの未来──それでも走る理由
それでも、選手たちは走り続ける。
なぜか?
それは「お金のため」ではないからだ。
- 自分自身への挑戦
- 国の誇り
- 誰かに夢を与えるため
- そして何より「走ることが好きだから」
この純粋さがあるからこそ、世界陸上という舞台は感動を生む。
まとめ
「世界陸上って、そんなに稼げるの?」
「いや、そんなに儲からないかも…」
──そんな議論があってもいい。
だが一つ確かなことがある。
お金を超えた価値が、あのトラックには存在している。
それを知るだけで、次に見る世界陸上が少しだけ違って見えるはずだ。