脳細胞レベルでトップアスリートの動作を研究する

「ミラーニューロン」という近年発見されたニューロンについて。

最近の研究によると、たとえば人が指でナッツを掴むという行為を”行う時”だけでなく、他人が同じ行動をするのを”見る時”にも細胞は活性化するそうだ。

このニューロンは最初はサルの脳でえ発見され、今では人間の脳にも存在することが明らかになっている。
すごく簡単に説明すると・・・

たとえば
①隣の人がピンで刺されているところを見ると、自分まで痛い。

②隣の人があくびをしているところを見ると、自分まであくびしたくなる。
③隣の人が咳き込んでいるとことを見ると、自分の肺や喉もムズムズしていくる。

これらは「人間の脳内には、他人の感覚に対して実際に鏡のような効力を持つニューロンが存在する」という証拠かもしれない、ということ。

ここからは自分なりに陸上に置き換えた仮説。
陸上においても、トップアスリートの動きをビデオなどで何度も何度も見ることで、

脳内のミラーニューロンが活性化されて、その感覚を模擬体感による学習をすることが可能なのではないか。


例えば学校での話。

学校によって、その学校らしい走りのようなものが存在する。
指導者や練習メニューが同じという要因影響は大きいかもしれないが、
もしかすると脳の細胞レベルで同調している可能性はゼロではない。


どこの学校でも一番速い選手の影響は大きい。

トップ選手の動きを観察している内に、ミラーニューロンがその動きを自分の動きと結びつける。そう考えると一緒に練習する相手はとても重要になる。

もちろん人の真似や動きができれば速く走れるわけではない。大切なのは自分の身体にあった走りの技術を掴むこと。

ただ、自分より速い選手は、自分以上に優れた”何か”を持っていると考えるべき。
(技術、柔軟性、筋力、精神など)

それを少しでも盗むことができれば自分にとってプラスになる。

私の知る限り、トップアスリートはいつだってビデオ研究を怠らない。
トップアスリートであるほど、繰り返し映像による動作チェックを行っている。

アスリートのずば抜けた運動センスの良さは、
そういった地道な努力の積み重ねに対して神経細胞が応えている結果なのかもしれない。


解明されていないこともまだ多いが、私はこの理論を信じ、

「他人の動作を見ることが、自分の動作レベル向上に起因する」ということを自分の体を使って実験してみようと思う。